波乱はすぐ起こった。

記憶を失って赤ん坊同然のアスランが、テスト第1位。

皆が呆然とした。

そう、其の時から起こった。

「………んだよ、ソレ!」

「サイ………?」

「だって彼奴!記憶失って全部赤ん坊なみなのにさ!
 テストだけ100点ってどういうことだよ!
 どうせ其奴、嘘ついてんじゃないのか!?」


「――サイ?」

こんなに暴言を吐いたサイは始めてみた。

「なぁ、アスラン!お前全部覚えてるんじゃないのか!?」

「や、やめなよ、サイ」

「何時も俺は努力してきて……一生懸命やってるのに…
 なんで彼奴が俺より何時も上を行くんだよ!
 昨日だって一生懸命頑張ってた俺と比べればッ!!!」

サイが何時も我慢していたこと。

それは、”学力”だったんだ。

何時もモテモテで、頭が良いアスラン…。

頑張って勉強しているサイは全然追いつけない。

……だから?

「でも、アスランだって…努力して…」

「天才は違うって言いたいのかキラ!」

「違う。僕は……」

アスランだって…頑張ってるのを知ってる。

気づかれないときに 沢山の努力をしてる。

それは僕がわかっている。

その結果、記憶を失ったって…

「サイ、何にもしらないのにそんな事…言うなよ」

「……?」

それじゃあ、『コーディネイターだから』って言ってるのと同じじゃん!

「サイは僕より頭よくて…っ
 僕はサイの事もアスランのことも、凄いなって思う。
 僕より努力して、勉強が出来て…僕はそんな努力、出来なくて…だからっ
 二人の努力の結果…でもあるし、人は生まれつきある才能がある。
 天才だからって……責めるのは………良くない」

自分だって本当はサイやアスランのこと嫉妬してる時だってあるのに…

一体何言ってるんだよ、僕!

「……勝手にしろ!」

   バタンッ

「サイ・・」

ミリアリアはうつむいた。

どうして僕達は 誰かを羨ましいと思うのだろう